茶のちもと

日 本を代表する温泉地・箱根湯本に建つ、和菓子屋「ちもと」の建物は、昭和初期に建設された擬洋風建築。この保存改修とともに新規の喫茶「茶のちもと」が オープンした。店名の「ちもと」とは、浄瑠璃・歌舞伎の演目「義経千本桜」に由来する。度重なる増改築の結果と思われる変形の平面を曲線でなぞり、珪藻土 漆喰の壁で空間を柔らかく包んでいる。窓に付けられた雪見障子の組子は山桜の姿をしており、箱根の山と室内空間を記号的に繋げる。FRP樹脂で成型された客席のテーブルと大きなお椀形カウンターは、桜の花びらに切り取ったガーゼをあしらい、樹脂を重ねては研ぎ出す工程を繰り返して、桜吹雪の靄がかったような奥行き感を生み出している。建築、空間デザインを手掛けたのは、小川裕之(おがわ・ひろゆき)氏。

 

  • 「茶のちもと」  http://yumochi.com/
  • オープン:2010527
  • 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町湯本690
  • 設計:小川都市建築設計事務所 小川裕之
  • http://www.ogawaoffice.com/
  • 床面積:34.43㎡(喫茶部分)
  • 撮影:T.Hiraga

 

 

箱根の山の稜線を思わせる曲面が空間を和らげる


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