箔座日本橋

金箔の老舗「箔座」が“伝統と革新”というコンセプトのもと、東京旗艦店として新しく「箔座日本橋」を立ち上げた。神社仏閣や美術工芸品など“素材”として使われることが多かった金箔を現代の価値へ置き換え、食やファッション、テーブルウエアなど、新しい展開を試みているオーナーの背景を受け、その金箔をよりファッショナブルに見せるよう、あえてベージュを基調とした、明るくモダンなデザインにまとめた。建物1階の中央に位置する立地を活かし、ファサードを可能な限り開放、ショーケースとガラスの壁面什器が両脇に並ぶ、ギャラリーのような通路を設けることで、店内への人の引き込みを強くするように計画した。また、店舗中央には大きなシリンダー状の金箔のシンボルを配置させ、圧倒的な存在感、訴求力を持たせるとともに、動きのある“売り場”、落ち着きのある“お茶席”など、オープンな店内を用途によって曖昧に仕切っている。この今回の主役とも言える金箔のシンボル“黄金の天空”は、全身で金箔を体感できる空間であり、内外併せて約16,000枚もの金箔が職人の手により一枚一枚貼られている。その外観は、糸が巻かれたシリンダー全体に金箔が貼られ、繊細な陰影と荘厳な輝きを放ち、一方、内部は外観の印象とは異なる円錐型のドームと、グラデーションに仕上げた左官壁により、天井の高さを強調している。その頭上にはハラハラと舞い降りるような金箔のオブジェが光の演出とともに人々を魅了し、“箔の魅力を余すことなく発信したい”というオーナーの強い想いを表現している。(小坂 竜/A.N.D.

 

 

  • 「箔座日本橋」
  • 所在地:東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1
  • オープン:201010
  • 設計:A.N.D. 小坂 竜 阿部美和子
  • 床面積:178.58
  • photoNacasa & Partners

 

 

 

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